生徒への直接的指導 – 株式会社ARCS
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ARCSの活動

生徒への直接的指導

学校と塾の関係

我々が母体となる塾を創設した約40年前といえば、学校と塾はまさに「敵対関係」にありました。学校からすれば塾は“目先の結果だけを追い求める商業主義の権化”であり“堕落した教育者のなれの果て”だったでしょうし、塾からすれば学校は“学力指導になんの研鑽も積まず、国の制度にあぐらをかいている事なかれ主義者たち”であり“役人もどき”だったでしょう。

しかし、明確に時代は変わりました。塾システムで育った生徒達が大人になり教員になり、塾への偏見が薄らいだことを土台として両者は徐々に接近していきます。現実問題として、学力指導以外の業務に膨大な時間を割かなければならない教員が片手間に対応するには、高校・大学受験の世界はあまりにも複雑化・巨大化してしまいました。一昔前であれば、塾で指導する志望校プランと学校のそれが食い違い、塾の講師と学校教員が電話で怒鳴り合うことも日常茶飯事でしたが、現在ではそのような状況になることはまずありません。我々塾側が生徒に「学校の先生はどう言っている?」と聞くと返ってくるのは「塾に通っているならその指導に従えば大丈夫」というもの。当初は戦う気満々で身構えていた塾側は肩透かしを食った気分です。そしてそれもいつしか当たり前になります。現在では、多くの学校と塾の間で暗黙の了解が出来ているようです。

一歩進んだステップ

この暗黙の協働関係は近年さらに一歩踏み込むことになりました。生徒達が塾に行くのが当たり前なら、いっそその塾を学内に取り込んでしまおう。そんな試みが先進的な学校で始まります。開始当初は予備校講師の出張授業として始まり、映像授業システムへと進化しますが、この段階ではまだ「授業の外注」に過ぎません。しかし、次の段階では塾の教室機能自体を学内に移植する形での完全な「学内塾」が出現しました。我々も一部学校でこの「学内塾」を運営しています。

学内塾のタイプ

現在では首都圏を中心に多くの私立中学・高校がこの学内塾システムを導入しています。ただし、同じ学内塾と言っても中身はだいぶ異なるのが現状です。ここではそれらを大きく2つのタイプに分類してみましょう。

A. 生徒の放課後の補習型

端的に言えば“放課後に、成績の悪い生徒の面倒を見てくれる場所”です。授業についていけない生徒達の補習を外注することを目的としています。このタイプは比較的成績上位生の多い学校で導入されていますが、その意図は、出来ない生徒の面倒を学内塾に任せ、教員は中堅〜上位層生徒にエネルギーを割く形での分業にあります。

B. 受験お任せ型

大学入試に向けた指導を学内塾に一任する形です。これはAタイプとは異なり、成績下位生の多い学校で導入されることが多いタイプです。目的もAタイプの裏返しで、ごく一部の大学受験をする生徒は塾に任せ、それ以外の生徒達を教員がみる形になります。

学校機能と統合された学内塾の形

上で二つのタイプを見てきましたが、これらはどちらも一部の生徒達の指導を学校教員から切り離すことを目的としています。しかし、その施策は一時的な効果はあるにせよ、長い目で見たときに“学校のためになっている”とはいえないと我々は考えます。

なぜか。シンプルに、“学校に何も残らない”のです。

学内塾はいくら学校の中にあるといってもそのシステムは完全に学校から独立したものであり、そこに情報の共有はありません。もちろん成績情報の相互提供などはなされるでしょうが、核心の「指導ノウハウ」の部分が公開されることはまずないでしょう。

しかし、何度も言いますが、それでは学校に何も残りません。

我々はそのような「テナント型」の学内塾をより進化させることを提唱しています。先生方と学内塾の講師が学内塾という場を通して深く交流し、塾の持つ様々な指導ノウハウを先生方に開示していく形です。一方、塾の講師も学校の運営を間近で見ることで、学校というシステムを深く理解していきます。結果として、学校と塾の先生それぞれが、互いに“相手が何をやっているかしっかり理解している”状態を作り出します。そうなって初めて学校と塾は有機的に連関し、真の意味での協働が実現できるでしょう。