高3の夏が終わり、いよいよ二学期に突入します。これまでの「高1、高2の集大成」としての一学期とは異なり、二学期からは本格的に受験に向けた対策に入っていきます。勉強面では過去問演習が始まりますし、進路面でも最終志望校の決定が行われる時期です。このように、生徒達にとって二学期は泣いても笑っても「受験にリアリティを持たざるを得ない」時期となります。

すると、これまではリアリティに欠けていた「合否」についても肌感覚で感じるようになり、生徒の意識は入試に受かった後、落ちた後にまで向かわざるを得ません。バラ色の大学生活、あるいは辛いもう一年の勉強生活。これが現実味を帯びて迫り、強烈なプレッシャーとなることでしょう。

このように、一学期と二学期は時間の上では連続していますが、質的に大きく異なる時期となります。このギャップを乗り越えてうまく二学期を乗り切れるかどうかはまさに合否を分ける分水嶺です。

これから始まる二学期、各月の概要を大まかに説明していきます。

9月 “谷間”の一ヶ月

ここ20年の日本経済を指して「失われた20年」と呼ぶことが多いですが、それに倣えば9月は「失われた1ヶ月」であると言えます。

  1. 必死に勉強した夏が終わり精神的に集中の糸が切れやすい
  2. 夏の勉強の成果が8月末の模試で現れない
  3. 再び始まった学校生活に体力を奪われる
  4. 高校最後のイベント(文化祭や体育祭など)

夏にあれほど盛り上がった気持ちがはじけて萎み、何となく虚脱感に襲われている状況です。塾の授業でも8月は「行くぞ! やるぞ!」だった雰囲気が、9月に入ると「お祭り終わり。撤収」というまさにお祭りからの帰路のトボトボと歩く感じに変わります。

勉強の成果については当然のことながらすぐ結果には反映されません。夏の結果は第三回河合模試とセンタープレテストに反映されます。これも生徒達は頭で分かっていますが、なかなかシンプルに割り切れません。

また、学校が始まると生活リズムも変わります。夏休み中も夏期講習などで忙しくはしていましたが、普通の学校生活の拘束時間はやはり長く、夏の疲れも相まって「ダルい」感じが続くでしょう。

この状況にとどめをさすのが高校最後のイベントです。これは学校によってない場合もありますが、何らかのイベントが設定されている場合、どうしてもそちらにエネルギーを割かざるを得ません。

これらの要素が一気に集中するのが9月なのです。

ここで保護者の皆さんに知っておいて欲しいことは、「この9月の状況は程度の差はあれほとんどの生徒が経験するもの」であるということ。「受験が近づいてきているのにうちの子はなんかだらだらしている。ライバルは頑張っているのに。どうしよう!」と不安がる必要はありません。ライバルも頑張っていないからです。

塾での指導においても9月の状況はある程度織り込み済みです。ポイントはこの虚脱状況ではなく、そこからちゃんと復活できるかにあります。

10月 復活の時

二学期の山場は12月よりもむしろこの10月にあります。9月の一時的な虚脱状況を脱してもう一度エンジンの回転数を上げていかなくてはなりません。

  • センター試験出願
  • 第三回河合塾全統模試

この二つのイベントがもう一度やる気をかき立てる重要なファクターになります。センター出願についてはまさに大学入試が現実であることを生徒達に体感させてくれますし、第三回河合模試は志望校決定の最重要情報となります。

勉強面では過去問演習が本格化する時期です。生徒達は実際に自分が受けたい学校の問題を解いてみて、手も足も出ない状況を体感します。一学期にも試しに解いたことはあったかも知れませんが、そのときの「できない」と10月の「できない」では重みが違います。一学期はまだ「できなくて当たり前」でしたが、10月になるとそうはいきません。生徒達はこのショックをバネに勉強を進めることになります。

余談ですが、生徒の中には5割程度正解して「意外と解けた」「簡単じゃん」などの感想を持つものもいます。残念ながら、一部の最難関校を除いて過去問正答率5割は「まったくできていない」に分類されます。5割正答は多くの生徒が当たり前に到達するラインであり、逆に言えば「本番で5割はまず受からない」ラインです。目指すラインは8割ですが、この“あと3割”がくせ者です。この3割はやっかいな応用問題を攻略しなければ取れない3割ですから、基本問題が多いこれまでの5割とは質が違います。そして、この3割を取り切るためには、二学期のすべての時間を費やす必要があります。このような情報を生徒達が自分で見つけ出すことは難しく、塾で学習指導を受けていることが大きなアドバンテージとなるところです。

また、志望校の選定についても大詰めを迎えます。このタイミングで決めていくのは本当の意味で“リアルな”志望校です。生徒自身も内心では無理だと思っていながらも唱えている“建前の第一志望校”があるのであれば、それはもう取りやめて、生徒が心の底から頑張ればイケると思えている学校に切り替える必要があります。ただ、生徒も過去問演習や模試を通じて自身の力を実感している時期ですので、志望校変更によって大きく精神状態があれることは多くはありません。大抵はむしろすがすがしい表情になります。もちろん第一志望校が問題ない場合にはそのまま続行します。併願校については、夏から9月までに調べた候補校を具体的に絞り込んでいくタイミングです。

11月 大荒れの時期

11月は河合塾センタープレテストがありますが、それ以外には大きな動きはありません。志望校選定も大方片付き、黙々と過去問演習をこなす時期です。

そんな時期だからこそ、メンタルが荒れます。過去問演習は真摯に進めれば進めるほど「自分の力のなさ」を痛感させられるものです。問題が解けるようにはなっていきますが、新たな疑問や弱点もまた際限なく生まれてきます。さらに、気候的にも肌寒さが出てきて、じわじわ入試本番が近づいてくる実感も生まれます。

このようなメンタルの不調から、この時期は様々なトラブルが発生します。

  • 親と衝突
  • 友人と衝突
  • 学校や塾と衝突

この三つは定番です。すべてがすべてではありませんが、多くは自分の勉強がうまくいかない要因を外部に求める動きです。我々講師も解決できる問題は解決しつつ、生徒達にも自分の内面に気づかせる働きかけをしていきます。

12月 あっという間に過ぎ去る一ヶ月

11月と打って変わって12月は出願関係の準備、試験日程も含めた志望校の微調整と考えることが多くなる時期です。勉強面では二次試験の過去問演習の傍らセンター試験の対策も進めなければなりません。マルチに色々なことをこなしていかなければならないため、気がつけばあっという間に終わってしまう一ヶ月です。

ここでよくある問題は、生徒に勉強に専念させるために出願関係はすべて保護者がやってあげてしまうパターンです。これは一見生徒のためになっているようですが、実際にはかなり副作用が多い行動なのです。ひどい生徒になると自分が何校受けるのかも正確に把握しておらず、受験日も「たぶん○○日あたり」とあやふや。親が全部やってくれるのが当たり前と思っています。受験が「自分のこと」として認識されていない場合、受験票忘れや遅刻、体調不良、最悪の場合には受験日を取り違えて欠席という場合もあります。そして、それらすべてが生徒自身の責任であるにもかかわらず、「なんで○○してくれなかったの?!」と親を責めます。この精神状態で近年のタフな大学入試を乗り切るのは不可能に近いでしょう。

このような状態に陥らないためにも、是非出願関係も生徒にやらせてください。生徒が自分で準備→保護者がチェックの流れがよいでしょう。

まとめ

二学期の典型的な流れを一ヶ月毎にまとめてきました。勉強面や志望校選定についてはここに記載していない細かなポイントが山のようにありますが、それらはすべて生徒達に伝えていきます。

二学期は生徒達にとってタフな時期であると同時に保護者の方にも多大な負担を強いる時期です。生徒達が苦しむ姿を間近に見ることになりますし、時には当たり散らされることもあります。私もこれまで数多くの保護者の方から二学期の諸問題について相談を受けてきましたが、一つお伝えできることがあるとすれば、「勉強面はノータッチ、志望校はハーフタッチ、生活面は断固として」です。勉強面では完全に各大学の過去問演習が中心になりますので、保護者の方が全貌を把握するのは難しいかと思います。志望校については生徒に「この大学にこれこれの理由で行きたいです」とプレゼンをさせ、受け止めてあげてください。一方で生活面に関しては変に遠慮をする必要はありません。ご家庭のルールにそぐわない行動については断固として叱ってあげてください。

これからハードな数ヶ月間が続きますが、この時期をしっかり過ごせた生徒は驚くほど成長します。是非陰ながらサポートをしていただきたいと思います。

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高校三年生で模試偏差値50以下の状態から本格的な勉強を始め、東北大学文学部・慶應義塾大学文学部・早稲田大学教育学部・学習院大学文学部など最難関大学に現役合格したエンライテック卒業生の体験談です

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