12月になり、一ヶ月後には入試本番最初の試験であるセンター試験が見えてきました。この時期の生徒達は、国公立第一志望の生徒は共通テスト対策、私立第一志望の生徒は志望校の過去問演習と、やるべきことはかなり明確になっています。学校行事なども終わり、やるべき勉強も明確。後は実際の出願手続きが残っているくらいです。

しかし、行動がシンプルになっていくのと反比例して、精神的な葛藤はますます増大していきます。「落ちたらどうしよう」「これだけ頑張っているのだからなんとかなるはず」「でも、最後の模試の結果はふるわなかった」「でも、その後頑張っているから」「でも」「でも」と、色々な思考が頭を駆け巡っています。

我々講師は何年も生徒達を見てきていますので、生徒達ひとりひとりがどのような状況にあるのか大まかな想像はついています。しかし、何かをしてあげることはできません。17〜18才の生徒達は精神的にもほぼ完成されてきているため、外部からの働きかけによって大きく変化することはそう多くはないのです。ですから、今後の生徒への接し方は、「変える」動きではなく、生徒達の状況を「受け止め」、場合によっては自身を見つめ直す切っ掛けを与えることが中心になります。

タイプA 内省型

このタイプの生徒は共通テスト以降もそれまでとほぼ変わることのない日常を過ごしますので、親、講師はある種「拍子抜け」してしまうかもしれません。ただし、“爆発”したときに最も危険なのがこのタイプです。

そうならないためにも、適宜ガス抜きをしてやる必要があります。他愛ない日常の話だけではなく、ズバリ核心に踏み込む(各教科の仕上がり、不安はないか)ことで、固い殻をこじ開けなければなりません。かなり具体的な勉強の話になるので、ご家庭では難しいかもしれません。

ただ、生徒が妙に「話したそうにしている」(普段はすぐ部屋に行ってしまうのに居間に残っている、普段はあまり話しかけてこないのに妙に声をかけてくる)場合には聞いてあげてください。特に何かを言う必要はありません。何があってもあなたの味方だ、というメッセージを伝えれば大丈夫です。

タイプB 楽天型

何があっても「たぶん大丈夫」と受け止められるこのタイプの生徒は最も「受験向き」です。ただし、真の意味での楽天型はほとんどいません。多くの生徒が以下に述べる「タイプC 逃避型」の割合を強く持っています。

タイプC 逃避型

一見明るく、物事に動じないように見えますが、実は弱点や不安から目をそらしているだけの場合があります。タイプBと表面上はほとんど同じ態度なので、どちらなのかを見分けるのは非常に難しいでしょう。

こちらのタイプの場合、志望校の変更がとても難しくなります。たとえば共通テストで思うような点数がとれなかった場合、私立の追加出願や国立の出願変更など、様々な変更があります。その際に、タイプBの生徒がある意味であっさりと変更をする一方で、Cの生徒は「投げやりな頑固さ」を見せます。これは志望校変更をすることによって、自分のうまくいっていない状況を直視せざるを得なくなるのが怖いが故であることがほとんどです。その場合、自身が「逃避している」ことを自覚してもらうためにかなり時間をとって講師が面談します。

「志望校のことなのだから、先生に相談してきなさい!」と伝えてください。

タイプD 不安先行型

保護者の方がご家庭で生徒をご覧になっていて、最も「不味いな」と思われるのはこのタイプかもしれません。口を開けば「落ちる」「不安」とネガティブなことを言いますので、保護者の方もつられて不安になる、あるいは、お子さんを苦しみから早く解放してあげたいと思うようになります。

しかし、私としてはこのタイプの生徒はあまり気にしていません。

というのも、不安になるというのは、「やることをやっている証拠」だからです。努力して成績を積み上げたからこそ、結果が出るかどうか不安になります。これがやることをやっていないのであればそもそも心の底では「無理だな」と最初から判断しているでしょう。

もしお子さんがこのタイプの場合、上述した内容を伝えてあげてください。

まとめ

上に、よく見かける生徒のパターンを四種挙げましたが、実際にはもっと複雑に様々な要素が絡み合っていて、表出する生徒達の行動も千差万別です。しかし、根本的な部分まで遡れば生徒達が考えていることは「受かる可能性がある」か「無理だな」の2つしかありません。

一番多い「合否を過度に気にして悩む」パターンは「受かる可能性がある」と考えているからこそ起こる動きですので前者に分類されます。このパターンはどの受験生も必ず持っていて、少なからぬ時間をこの悩みでロスしています。しかし、「皆ロスしている」ので大きな問題ではありません。むしろ重要なのは、この答えが出ない悩みを超えて(あるいは悩み疲れて)、「もう合否はどうでもいいや、やるだけやろう」と思えるかどうかでしょう。実際に、合否という“他者からの判定”を気にするのではなく自身の能力をどれだけ伸ばせるかに意識が移った生徒はその多くが合格を勝ち取っている傾向があります。よって、生徒にかけてあげる声として最後は「合否ではなく、自分のレベルを上げることを意識しよう」というものでしょう。

※これはあくまでも「生徒が勉強に取り組む際の心理状態」についての話です。塾の受験指導としては、生徒の合格を目標に打てる手をすべて打っていきます。

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高校三年生で模試偏差値50以下の状態から本格的な勉強を始め、東北大学文学部・慶應義塾大学文学部・早稲田大学教育学部・学習院大学文学部など最難関大学に現役合格したエンライテック卒業生の体験談です

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