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学校の勉強と入試に向けた勉強、何が違うの?

前回のコラムでは、今後の大学進学は「一般入試」と「推薦入試」のどちらも受けることを前提に二刀流で戦っていかなければならないと書きました。
今回はそのお話しのより根源的な部分、「そもそも学校の(普段の)勉強と大学入試に向けた勉強は何が違うのか」という問いを立てて書いてみたいと思います。

構成要素を見てみる

この問いを考える際にまずおさえておきたいのは、学校の勉強と入試に向けた勉強がそれぞれどのような具体的行動から成り立っているかという点です。
学校の勉強は「普段の授業」と「宿題」、そして数ヶ月おきにある「定期テスト」の三つのパートで構成されています。この3つは中学校でも同様でしたから、高校に入ったからといって戸惑うことはないでしょう。
一方で大学入試に向けた勉強は「(塾予備校の)授業」「(塾予備校の)宿題」「模試」「自主課題」の四点からなります。ただし前二者は塾予備校に通っている場合の話ですので、通っていない場合は「模試」「自主課題」の二点となります。
一見似ていますね。

学校の勉強通常授業宿題定期テスト 
入試の勉強(塾予備校の)授業(塾予備校の)宿題模試自主課題

量と難易度

二つの勉強の違いを考えるとき、すぐに思い浮かぶのは「量」の差でしょう。学校の授業や宿題よりも、大学入試を見据えた塾・予備校の授業や宿題の方が断然量が多いはず。そう思われるかもしれません。でも、実はそれほど差は無いのです。学校であれ塾であれ、授業の時間はそれほど変わりません。むしろ週に2日ほどしか通わない塾に比べて学校の方が授業時間は多いのが現実です。宿題についても、次の授業までに終わるものですから量は似たようなものです。
量の差がないとなると、次に思いつくのは「難易度」でしょう。これもイメージでは学校の方が簡単で塾の方が難しいと思われています。でも、事はそう簡単ではありません。簡単な内容を扱っているように見える学校ですが、実はそれらの内容の多くは生徒達にとって「初見」なのです。一方で、塾の授業は学校で習った内容を土台にして進むことが多く、複雑さは増しますが、初めてのものに出会う戸惑いはありません。ゼロから1を作り出すのと1を5にするのとどっちが大変か、という話です。どちらも甲乙つけがたいのではないでしょうか。

期間が違う

さて、「量」も「難易度」も違いがないとすれば、他に何があるでしょうか。 一言で言えば「期間」が違います。
毎日授業を聞き、宿題をやり、授業で習ったところ「だけ」を範囲とした試験を2〜3ヶ月スパンで受ける学校の勉強はいうなれば「短距離走」です。一方で、入試に向けた勉強は究極的には3年間を一区切りとして行います。もちろん模試は数ヶ月に一度ありますが、定期テストのように授業で習ったものからでるわけではなく、大まかな単元の中であればどんな問題が出てもおかしくないものです。短距離走との対比で言うならば「長距離走」でしょう。
2ヶ月後のゴールに向けて行動するのと3年後のゴールに向けて活動するのでは、同じ活動でも求められる能力が大きく異なります。長期の活動を成功させるためにはペース配分や手順を細かく決めておかなければなりません。さらにモチベーションの維持や小さなペース遅れのリカバリー法など必要です。

  • 長期的なゴール設定
  • 短期目標への落とし込み
  • 行動手順の明確化
  • ペース調整
  • モチベーション維持

これらをやりきった末に到達するのが大学入試なのです。程度は違えど似たようなことは中学時代の定期テスト準備や高校受験でやっているじゃないかと思われるかもしれません。確かにその通り。程度はそれこそ桁違いに違いますが、本質的には同じです。

「独力で」やることの重要性

決定的に違うのは、大学入試はそれを「独力で」やる必要があるという点です。例えば高校入試では、塾の授業をちゃんと受けていれば自然とゴールにたどり着くことができるようになっていましたが、それは高校入試が要求する知識が少ないからできることです。
一方、大学入試になると要求される知識が膨大すぎて、3年間週5日〜6日朝から晩まで行われる学校の授業でも実は網羅できていません。学校の授業がカバーできるのは土台の部分だけです(あくまでもカリキュラム上は。実際には様々な重要単元が土台の部分も終わりきらず受験の時期を迎えるのが現実です)。そして、入試ではこの土台の上にさらに各大学が要求する応用的な知識が求められます。応用的な知識は塾や予備校でやればよいのではないかと思われるかもしれませんが、応用的な知識の部分だけでも量が多すぎて塾・予備校の授業では網羅できないのです。
つまり、まとめれば、大学入試においてはその内容のかなりの部分を「自分で」やる必要があるということです。この自分でやるべき内容を上の方では「自主課題」という名前で書きました。これをどのようにこなしていけるかが大学入試の合否を決めるキーとなります。

なぜ日本では就職に「大学名」が重視されるのか

大学受験を勝ち抜くためには、自分の力で計画を立て実行し、問題点を洗い出して修正する能力と、コンスタントに行動し続けるモチベーションの維持が重要と書きました。実はこれ、就職の際に所属大学名とその入試難易度レベルがとても重視される理由の一つなのです。
就職時の学歴偏重はこれまで長い間批判を受け続けてきました。「日本の大学は入るときは難しいが入ったら遊ぶばかり」「大学で学んだ内容を企業が評価しない」などなど、くの批判を見ることができます。もちろんそれらの批判の中には納得できるものも少なくありません。
しかし、一方で、企業が学歴を気にする正当な理由もあるのです。つまり、「○○大学の受験で合格できたということは、そのために必要な“能力”を持っている可能性が高い」というものです。実はこの能力は大学入試のために学んだ勉強内容ではありません。大学入試で学んだ内容を重視するのであれば、大学入学後に学んだ内容はより重視されるはずです。しかし現実には大学で何を学んだかよりもどのレベルの大学に入ったかの方が重視されています。
ここでいう能力というのはつまり、計画立案と実行、チェックなど「長期的な勉強のやり方」を指します。そして、もうお気づきかと思いますが、これらの能力は勉強だけではなく、社会人として「仕事」を進めていく上で必須のものなのです。 つまり、企業は所属大学のレベルを通して、その学生に「仕事を行う上での基本姿勢」がどれだけ身についているかを見ているとも言えます。

このような視点から見ても、大学入試に向けて準備をすることは、その後一生使うことになる仕事の基本姿勢とスキルを学ぶ最初の一歩であることが分かります。 コロナの影響で学校が休校している今、生徒達は家で自学せざるを得ません。それ以外に道がない状況に置かれています。これは見方を変えれば自学自習の方法を習得する絶好の機会なのです。生徒の皆さんは是非この時期を「ポジティブに」活用して欲しいと思います。

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