NKアカデミックセンター(NKAC)特設ページ

保護者の皆さんに知っておいて欲しい「大学入試の今」

  • 高校1年生の生徒にとって入試はまだまだ先の話
  • わたしたち(保護者)の頃は〜〜〜な感じだったから大丈夫

この2点、高1生保護者の方とお話ししているとよく聞く話ですが、2020年以降とても危険です。2020年(正確には数年前から)以降大学入試はその本質レベルで大きな変化が起ころうとしているからです。

センター試験廃止、共通テスト開始、英語外部検定導入

巷を賑わす大学入試改革で必ず取り上げられるのはこの3点。それに加えて今年の共通テスト導入は見送られたものの、記述式問題の導入もあげられます。おそらく新聞や週刊誌などでご覧になったことがあるかと思います。
実はこれらの出来事は全然大したことではありません。特に共通テスト関連の変更は言ってしまえば「よくあること」です。これまでも私立大学の入試は毎年それこそ猫の目のごとく変わってきましたし、その変わり方も非常にドラスティックです。確かに全国一律のテスト問題が変わるのは初とは言え、その変わり幅はそこまで大きくないので、高1の生徒達は十分準備する時間があります。
本当の変化はここではないのです!

本当の“変化”

日本の大学入試システムはこれまでも(おそらくこれからも)数多くの批判にさらされてきました。その中でも最も有名なのは「生徒の能力をペーパーテストで一律に測るのは画一的すぎる。生徒の個性を重視していない」というものでしょう。「受験戦争」というマイナスイメージの単語とともに、「規格大量社会の歯車を作る悪しきシステム」の代表として大学入試が何度もやり玉に挙げられています。
このような批判に対する応答としてAO入試や推薦入試が徐々に拡大していきました。ペーパーテストは行わず、書類審査・面接・小論文だけで合否を決める形式です。推薦入試の中には、学校の授業をしっかり聞いて高評定をとり基準を満たせば事実上合格が約束される「指定校推薦」といった制度もあります。
テストの点数ではなく生徒の人物をしっかり見て合否を決めるこの形式は一見とても素晴らしく、全ての大学が採用してもおかしくないはずです。しかし、このシステムにもきつい批判がありました。「推薦合格者は一般入試(ペーパーテスト)を経て入学した生徒と比べて平均して学力が低い」という大学側からのものです。実際に難関〜最難関の大学においては推薦入試を行いはするものの、その合格定員を絞り、大半を一般入試からの合格者とし続けていたことからもその批判の切実さが分かります。
そんなわけで、色々な批判はありつつも日本の大学入試はこれまで「本流は一般入試」で進んできました。しかし、近年その状況に変化が見られるようになりました。定員管理の厳格化といわれる国の政策が引き金を引きます。
ほんの数年前までほぼ全ての私立大学は決められた定員の何倍もの合格者を出していました。例えば、100名の定員であれば400名を合格者として出したとします。私立大学は他の大学と併願されますので、400名合格者を出しても多くの入学辞退者が出ます。ある年200名の辞退者が出たとしましょう。それでも200名残っていますから定員の2倍が入学することになります。中学や高校の場合教室の数など制約があり物理的に不可能でも、大学の場合多くは大教室授業で施設も巨大であるため何とかなってしまうのです。大学側としては生徒が増えれば授業料収入も増えますから問題ありません。このような状況が常態化していたのです。
シンプルに言えば、定員管理の厳格化はこの状況を止めさせる施策です。結果大学側は100名定員であれば、想定する辞退者を計算した上でギリギリの合格者しか出さなくなりました。先ほどの例で言えば200名辞退で100名残るようにするので合格者は300名。つまり、合格者が100人減るわけです。近年の大学入試が凄まじく難しくなっている原因のかなりの部分はこの定員管理の厳格化によるものです。 さて、問題はここからです。先ほどあっさり「想定する辞退者」と書きましたが、生徒がどれくらい辞退するかを正確に推測するのは至難の業です。200名辞退と予測して300名合格者を出したのに250名辞退されてしまったら…定員100名に到底届きません。大変なことですね。大学側はこれを避けたいと思い手を打ちます。一般入試よりも早い時期に行われる推薦入試(9月〜12月に試験が行われる)で先に大量に合格させ入学者を確保し、一般入試では定員を絞ってしまえば読み違えの影響を最小限にできるというわけです。かくして推薦入試、AO入試はその定員をここ数年毎年拡大し、ついには定員の割合が一般入試5:推薦入試5に近づくこととなりました。

推薦入試が重要?

一般入試の割合が減って推薦入試の割合が増えた。ということは推薦入試に向けて頑張ればいいのかというと事はそう単純ではありません。
そもそも「推薦入試に向けて頑張る」とは具体的に何をすることを指すのでしょうか。これも実は数年前ならシンプルに「学校の授業をちゃんと聞き、課題をちゃんと出し、定期テストで良い点を取ること」と答えられました。しかし今は違います。
これまでは推薦入試には国が「ペーパーテストを課さない」よう指導していましたが、これが「ペーパーテストを課す」よう方向性が変わってきています。そしてこの場合のペーパーテストは入試難易度によって採用されるものが変わるとはいえ、ある程度のレベルの大学においては事実上一般入試と同様のレベルの問題となることでしょう。
結論をいいましょう。
推薦入試=「一般入試を戦える学力」+「学校の評定」
になるということです。
上で推薦入試の定員数が増えていると書きましたが、求められる能力も増えているというわけです。
つまり、これまで多くの生徒がとってきた「高校三年間は学校の勉強だけをしっかりやって、(受験勉強をせず)推薦で大学に行く」というルートがむずかしくなります。今後はほぼ全ての生徒が一般入試も推薦入試もどちらも受けることを前提に、「高1から学校の勉強も受験に向けた勉強もしっかりやって、推薦も一般入試も受けてどちらかで合格をとる」形になるでしょう。

「とりあえず学校に真面目に行っていれば、選ばなければどこかの大学には入れる」という時代は終わりつつあります。大学進学を目指す場合は高1の段階から計画的に動いていかなければなりません。この時期、是非将来のことについてもご家族で話し合ってみてください。

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